現代人になくてはならないガジェットであるSNSとスマホは墨と筆にとって変わるのか。 川柳プラットフォームであるtanzacの代表たねの氏に聞く。脳内インタビュー

良い子をやめてみる

—川柳のリッチメディア化、アート化だけでは弱く足りない気がします

「おっしゃる通りです。それだけでは、画像に文字を書き込むアプリと同様です。現状機能的にはそれに劣っていますし、将来的に余力ができたらバージョンアップしていきたいと思っています」

—秘策は?

「優等生をやめる、ということでしょうね」

—どういうことですか?

「川柳や俳句ってよくも悪くも優等生のイメージがある。感動させるか泣かせるか、よくて自虐に走るか。けどそこを突き抜けることがなかなかない。そういう場となることが、突破口になるような気がしています」

—どうやって優等生をやめる?

「究極は掃き溜めになればいいと思っています。川柳って手裏剣のイメージなんですよ。言葉の刃と言ってもいい。一方で文学っぽい雰囲気も自動的についてくる。鋭いことを詠んだとしても、受けてとしては『文学だから』でスルーできちゃう良さもある気がしているんです」

オブラートとしての川柳

—よく分かりませんが

「はい、僕も分かりません。人間って、吐き出したいんですよね。ネガティブな言動を封じる風潮がある今ですが、一方で吐き出す場も必要だと感じています。しかしストレートに出したのでは傷つく人間が必ずいる。それを川柳というフォーマットに乗せたら、受け手のダメージがいくらか弱まる気がするんですよ」

「差別や異種を排除する風潮は確かに許せませんし、みんな仲良くできたほうがいいに決まっています。しかしそこに到達する土壌が、まだ日本にはない。遅れているんですよ。お互いにさらけ出し、話し合うことを避けてきた結果でしょうね。だから顔が見えないネットでそれをやると炎上しちゃう。冷静になれない。そこで、川柳です。それが一役かってくれるのではと思っています」

—排除したいという黒い欲求を川柳が薄めてくれると?

「そうです。誰かを傷つけたい、排除したいという黒い欲求が抑えきれなくなったら、それをストレートに出すのはやめましょう。どうしても出したくなったら一句詠んでください、ということです」

社会派川柳としての一面

—面白い視点だと思います

「人の心を変えることは一朝一夕ではできません。人の心を変えたいなら向き合う必要がある。ストレートに「死ね」って言われたら悲しくなりますが、川柳というフォーマットに乗せてワンクッションおくことで、次への橋渡しになる気がしています」

—無茶苦茶なこじつけな気もしますが・・・

「社会を良くしたい、隠し事せず仲良くできる世の中になって欲しいと思っています。たぶんみんなそう思っている。思っているけどどうしていいのか分からない人が多数です。そういう人に川柳を道具として使って欲しいですね。日本の社会に何かしらのインパクトを与えるツールとして、日本人に馴染み深い川柳が役に立つぞと。チャレンジですね」