現代人になくてはならないガジェットであるSNSとスマホは墨と筆にとって変わるのか。 川柳プラットフォームであるtanzacの代表たねの氏に聞く。脳内インタビュー

続かないブログの次に、川柳を詠むということ

—しかし、川柳といえば「サラリーマン川柳」を思い浮かべます。こちらでは他のテーマで年に1度のコンテストを開催するということですか?

「私もずっとそう思っていました。しかし歴史ある川柳コンテストは有名なものがいくつかあり、そこに参入するのは辛いなと」

「だから、これだというアイディアが無くて1年間ほったらかしにしていたんです。僕がある程度絵を描けないと、使う人はちんぷんかんぷんでしょう。だからほっといたんです」

—ここへきて動き出したということは、何か突破口が見つかったのですか?

「ええ。キーワードは『句会』『句集』そして『コンテスト』です。それらのプラットフォームにする。誰でも句会の主宰者になれ、オリジナルの句集が作れて、そして川柳コンテストのオーナーにもなれる、というものです。当然技術的なことは一切必要ありません」

—いわゆるHTMLを知らなくてもいいと

「その通りです。例えばオリジナル句集を作りたい場合は、メアドとパスワードだけでいい。ブログが続かないといいます。書くことがないからと。そういう人が句集作りにチャレンジしてみるのもいいと思います」

魅力的な季語作りが、一番クリエイティブな作業

—以前、詠む以外の楽しみもとおっしゃっていました。

「その通りです。川柳や俳句の楽しみって、自慢の一句を披露する以外に、『何をみんなに詠ませようか』と想像することも一つだと思うんです。 例えば季語もそうですよね。季語を考える人って「この単語なら、詠み手はワクワクするかもしれないな」って。 季語を必ず用いなさいとあえて制限することで、詠み手は想像力が発揮できるんですよ」

—なるほど、季語を自由に設定してもいいということ?

「必ずしも季語だけに限りません。例えば「節約で一句詠んで」でもいいんですよ。もっと先鋭的なテーマでもいい。「どういうテーマ設定をしたらみんなが面白がって詠んでくれるか」というところで、 クリエイティビティを発揮することができる。オーガナイザーですね。良い句が詠めないと諦めている人がいたら、今度は詠ませる側になって和歌を楽しんで欲しいと思っています」

—面白いですね。他にも楽しませ方は考えていますか?

「もちろんです。川柳や俳句って言葉勝負のところがあります。先にも申し上げた通り、 SNSやスマホ時代の今、五七五の17音というのは、画面映えしずらい。特に画像や動画に慣れ親しんでる若い世代にとっては当たりが弱いんです」

「そこで詠んだ句を『盛る』ことでも楽しんでもらえたらと思っています」

リッチメディア化が加速する川柳という引き算の文学

—川柳を盛る(もる)とはどういうことですか?

「短冊の背景画像を変えられたり、オリジナルの落款を押せるようにします。文字だけの川柳を『アート化』させることで一つ楽しみを見出したいと考えています。将来的には書体も自由に変えられるようにしたいのですが、フォント周りは特にお金がかかりますね(笑)」

—情報を足すということですね。

「そうです。俳句は短い文学、一人称の文学と言われることがあります。いわば究極に引き算された文学とも言えます。どうしてそうなったのか。これは僕の想像ですよ。当時は紙が貴重だったんですよ。墨とかそういう筆記具も貴重だった。だから長ダラダラと書き連ねることは一部の富裕層に限られた。木簡に書くにしても、いかにも硬そうで書き直しするにも削らなきゃいけないとなると手が疲れますね」

—そういう時代と比べると、現代は状況が変わりました。

「だから、情報を足してもいいと思いませんか?『川柳のリッチメディア化』とでもいいましょうか。ただ文字数を変えるわけにはいかない。五七五というのは生命線です。ただそれを補完し盛り上げる『脇役』は、必要に応じてリッチにしてもいいと思うんです」

アート化が拡散の鍵

—その一つが、川柳の画像化、アート化ということですね。ネットでの拡散もしやすそうです。

「おっしゃる通りです。今の若い世代って、リンクをシェアするのではなく、スクリーンショットを撮ってそれを送り合うと聞きます。 文字だけだと画面映えしない、言ってしまえばしょぼいんですよ。だから拡散させる力が弱い。

技術的な話になりますが、当プラットフォームでは、投稿された川柳はHTMLだけでなく、描画された短冊を画像化して保存しています。シェアするときは、コピーライト表記付きのその画像をシェアして欲しいと考えています」

—しかし、短冊の画像に句が負けてしまいそうです

「引き立てるための画像が逆に句の世界を食ってしまうこともあるでしょう。そのあたりのさじ加減は走りながら試行錯誤していきたいです」

—短冊プラットフォームの意味が見えてきました。しかし、本当に使ってもらえるサービスになると思ってらっしゃるんですね。

上手くいく保証はどこにもありませんから。損切りするなら?

「今でしょ!」

—林先生と関係あるかのように装うのはやめてください。